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「ティーネ!ティオーネ!ティオーネ!うううっううううぅ・・・わぁぁー、酒場が聖騎士に見つかって中の人が逮捕されたよ?怖いよ、怖いー」
「大丈夫。うん。」
馬の鬣を撫でて馬に乗りティオーネは馬に乗り平原を後にした。
「ティオーネ?酒場は?みんなの笑い声や騒ぎ立てる声が聞こえないね。」
「ああ・・・だけどな。俺はさ。御前が無事さえ居てくれれば何も要らない。ホント」
馬のジューシーは喋れる馬でティオーネとは幼少の時から知り合いで二十四年以上の付き合いとなる。ティオーネは馬に跨がり酒場を馬の背に乗せて分解してテントに荷物を積み込み平原に出て港町に近い山道に出た。
この世界で三番目に大きい霊峰レレゼジゼル山が見える。別名は死者の山と呼ぶ。今は行かないが、通り過ぎて山道を下りていると女性が追われてこっち側に向かってくるのと追っているのは明らかに聖騎士だ。いや・・・・漆黒騎士だ。霊体で触られると冷気で躰が凍えて魂を吸い寄せられる黒衣の騎士だ。
「キャアアアアアアアアアアアアッウウ!アアアアアアアアアアアア!」
距離が近づくにつれてティオーネは剣を構えた。
「ジューシー?ここに居ろ。側から離れるなよ。」
「ヘイヘイヘイホー」
ジューシーは荷物を乗せた状態で大きく体を反りヒヒヒヒンと唸りだした。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ズドンと足を挫いて転がり落ちて山道と崖のすれすれで木の枝に捕まっているのを見てティオーネは手を差し伸べた。
「た・・・た・・・・・た・・・たす・・・・ああああああああああっ!」
「大丈夫だよ。ほら」
力強く手を引っ張り純白のドレスを着た金髪の女性を助けた。
「あああ・・・あああ・・・・ありがとう・・・・」
涙目で大きい涙の粒で貌が濡れて泥だらけのドレスの女性をティオーネは馬に誘導させた。
「馬の背に隠れ。うん。隠れて」
手で合図してジューシーの背に隠れた女性。
「こいつは?」
手配書を見せる聖騎士にティオーネは剣を向けた。
「この世で一番嫌いな者が俺にはある。一つ、アンタ等王国のクズ連中の聖騎士だ。一つ、霊体で生存時の九国の国王の亡霊。つまり漆黒騎士てめぇらだ。俺は自由だ。」
双剣を構えて刀身から蒼い焔と真紅の焔を纏い目に十字が刻まれた。
「グウウウウゥグゥーグゥーッッワアアアアア!」
漆黒騎士が馬を下りて剣を抜く。
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