さでぃすてぃっくなヤツめ~っ

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美裕くんが五人がかりで床に組み伏せられていて。もう一人が美裕くんの頭上にしゃがみ込んでいて。手にはハサミを持っていて。床には少し茶色がかった髪の毛が落ちていて。 美裕くんは目一杯瞼を見開いて、僕を凝視している。 琥「あ、の…」 驚きで声が震える。 するとハサミを持っていた男の人が立ち上がって僕の方へ歩いてきた。 そして、状況がまだ理解できず動けない僕の腕を掴むと顔を覗き込んでくる。 身長は玲太と同じくらいだけど、とてもじゃないけど慣れ親しんだ感じは全くしない。 琥「! あ…の」 「あーのさっ」 美「ちょっと。 彼は関係ないよ。早く帰してあげてくれる?」 少し棘のある声が聴こえて美裕くんをチラッと見ると、体を押さえている中の一人が彼の前髪を掴んだ。 「あっ! やっと笑顔崩れたねー?たーきのくん。 何してもずっと笑顔で、手応え無いからイラついてたんだよねえ。 コレが素?」 「そいつ、コイツや陸先輩達といつも一緒に居る一年生じゃね? あー、お友達だから離してほしいってか?滝野クン」 琥「…!」 そう言われた美裕くんはその人に視線を向けた。 美「は? そんなわけないでしょ。友達なんて、馬鹿馬鹿しい。 そんなもの、僕には一人として居ないね。 無関係の人だから巻き込むのはどうか、って言ってるに過ぎないよ」 琥「! ……っ。」 友達じゃない……。 ハッキリと言われてしまった。 胸のあたりが握り締められたように痛んだ。 でも、美裕くん……部屋で一緒にケーキを食べた時、友達だって言ってた。 あの言葉が嘘だったなんて、思いたくない。 「だーってさ。 ホラ。どうしよっかなぁ? ここから逃げたい?誰にもこの事言わない?」 腕を掴まれたままそうやって問いかけられたけど、それに頷く気は到底起きない。 そして、ようやくまともに声を発する僕。 琥「……友達です。 美裕くんとは、友達です。僕の、大好きな友達…です」 美「……!」 言葉にすると、僕が一方的にそう思っている事が余計際立っている気がして、切なくなってくる。 美「……馬鹿じゃないの? 宮西くんにそんな事を言われる覚えはないよ。 こんな格好を晒されるのは良い気分じゃないんだ。分かるよね? 早く教室に戻って。僕の事は一切合切忘れてよ」
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