さでぃすてぃっくなヤツめ~っ

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みゆは俺の言葉に黙って立ち上がると、パーカーを大人しく羽織る。 美「寮?まさかリクが僕の髪を切る気? 悪いけど、願い下げだから」 まだ鼻声だけど調子は大分戻ってきたみたいだな。 多少は泣いた事への羞恥があるのか、フードを深く被ったまま俺からフイッと顔を背けたみゆ。 その事あんまりイジるとへそ曲げそうだからやめとこ……。 そう内心考えながら、俺はみゆの前に自分の携帯をチラつかせた。 陸「ちげーちげー(笑) 俺の知り合いで、そういうの得意な人が居るからさっき電話して頼んどいた。 すぐ来てくれるって言ってたから、大人しく部屋で待ってよーぜ」 美「そう」 食べかけのケーキをそのままに箱を閉じて手に持つと、颯爽と歩き出すみゆ。 その背中を見やって俺は安堵のため息を吐いた。 陸「ふぅ……。」 …………。 言ったら多分口きいてもらえなくなりそうだけど、泣き顔すげー好きだったな(笑) 今度泣かせてやろーかな……。 冗談だけど。 うはは(笑) ーーーーー コンコンとノックの音の後に聞き慣れた声が扉の向こうから聞こえた。 湊『…おい、滝野』 美「……ああ。 待ってて。すぐに開けるから」 あー…そういえば、昨日みゆが湊に部屋に来るように言ってたな。 俺はそう思いながら、丁度今しがた切り終えた髪を興味深げに弄(いじ)っているみゆに視線を向けた。 憂「あっ!湊くん!? 俺が出る俺が出るー!」 タタタッとみゆの部屋の扉まで駆けて行って、ゆーゆーは勢い良く扉を開けた。 憂「やっぱり!湊くんだっ! 久しぶりだねーッ!」 湊「!? ど……どうも…。」 思わぬ人物に目を見張ってから眉を潜めながらも、湊は軽く頭を下げてそう挨拶した。 憂「いやー! 湊くんの制服姿見るのは初めてだなぁっ! うん!カッコいいカッコいい! あっ。ごめんねー?義兄さんの黒周さんより先に見ちゃってー!てへっ(笑) まあ入りたまえよっ!(笑)」 湊「! ちょっ……」 ゆーゆーに腕を掴まれて、そのまま半ば強引に部屋の中へ引きずり込まれる湊。 さすがゆーゆー……。 湊の前でも安定のマイペースだぜ。 心の中で賞賛を送りながら、俺は眉を顰めている総長様に視線を向ける。 陸「よっ、湊!」 美「わざわざ悪いね」 鏡越しに湊を見てみゆはそう口にした。
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