さでぃすてぃっくなヤツめ~っ

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美「何回も試行錯誤を繰り返してはいるんだけど」 湊「何回もこの炭作ってんのかよ」 心底嫌そうな顔を浮かべる湊に俺は苦笑いして、まあまあと宥めた。 陸「みゆもそれなりに頑張ったんだから」 美「慰めは要らないよ。 僕は結果しか求めていない」 憂「じゃあ、その手もそれで?」 ゆーゆーが何とはなしにそう言って、みゆの絆創膏だらけの手を指差した。 陸「!」 美「……別に」 無表情のまま、手を自分の後ろへ隠すように持っていったみゆに俺はそれが確信に変わる。 だからコイツ、最近ずっと手が怪我だらけだったのか…。 海老フライがこの出来だ。 包丁で指を切ったり、油で火傷するのなんか目に見えてる。 てっきりコレも2年のやつにやられたのかと……。 憂「みっひー健気っ!(泣)」 美「その呼び方やめてって言ってるでしょ」 珍しく顰めっ面を見せたみゆに、どれだけゆーゆーと相入れないかが見てとれる。 そんなみゆに湊が声を発した。 湊「あいつらと喧嘩してんだろ? 琥珀がてめぇの事ばっか話してくんだよ。つまんねぇ意地張ってないで素直に謝れよ。 あいつらは、お前が自分たちの利益になるかどうかなんて欠片も考えてねえよ」 美「……。 そんなのは彼らの行動と思考回路を考えればすぐに分かるよ。 要は僕の自己満足だよ。悪いけど、付き合ってもらうから」 湊「……チッ」 ーーーーー 琥「玲太! そこにハサミない?」 玲「あー、あるある。ホラよ。 あれ?そういえば、暗幕って誰か借りてきたのか? お化け屋敷だから結構な数要るだろ」 琥「き、昨日伊原くんが借りてくるって言ってた」 「あっ!?やっべ! 貸出用紙だけ書いて、提出すんの忘れてた(汗) 俺、今から生徒会室行って申請出してくる!」 玲「おー。頼んだ」 「宮西、錦城! お前ら2人で工具室からカッターと絵の具、あるだけ借りてきてくんね? これじゃあ全然足りねー。 あ。赤と黒たくさん使うから多めで」 玲「へいへい」 もうすぐ文化祭です。 ご存知かもしれませんが僕たちのクラスはお化け屋敷をします。 学校中準備に追われています。 当日は湊たちや美裕くんのクラスにも遊びに行きたいなぁ。 美裕くん、嫌がるかな…(汗) そんな事を考えながら玲太と二人で工具室に向かう。 その途中で、不意に玲太があっと声を上げた。 玲「あれ先輩達じゃん。 あんな階段の踊り場で何してんだ?」
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