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玲太の指差す先を見ると、確かに見慣れた後ろ姿がいくつか見える。
あ…。美裕くんも居る。
玲太も彼の存在をとらえたのか、声をかけようか迷っているのが視界の端に映る。
…!
美裕くん、髪型凄くカッコ良くなってる…!
良かった…!きっと陸が美容院に連れて行ってくれたんだ。
チラリと見えた横顔からそんな事を思っていると、美裕くんの手元を覗き込んだ本郷先輩が声を上げているのが聞こえてきた。
颯「みゆちゃんっ!
これ、どうやったらこうなるん!?!
丸焦げやん」
陸「いや、これでも大分マシになった方だから!(笑)
海老フライって識別できるレベルまではきたな!
昨日、湊が超嫌々海老フライの作り方教えてやってたんだよなー?」
湊「別に作り方くらい、普通知ってんだろうが。
琥珀と錦城にあんな炭食わせるワケにはいかねぇだろ。
つか、まだ炭じゃねぇかよ。昨日言った通りにやったのかよコレ」
美「ミナトから教えられたレシピだと卵で海老フライを綴(と)じるという行程が無かったからね。
昨日のレシピ通り海老フライを作ってから、卵で綴じる行程は自分で考えてみたんだ。
コハクから貰ったモノは卵が少し甘かった覚えがあったから、蜂蜜とみりんと砂糖とシナモンシュガーを同割合で加えた卵で綴じてみたんだけど、すぐに焦げてしまう性質があるみたいでね」
颯「とりあえず蜂蜜とシナモンシュガーはアカンってわいでも分かるで」
湊「てめぇ、あいつらに食わせてやりてぇならもっとマシなモン作れ」
琥「……!」
玲「……。
なんだよそれ……」
ボソッと隣にいる僕でもギリギリ聞こえるか聞こえないかの声量でそう呟いた玲太。
美裕くんも、僕たちと仲直りしたいって思ってた……の?
僕がその考えに至った瞬間、隣から笑った音がする。
玲「ふはっ……!意地張り過ぎだろアイツ……!あんなに素直じゃねーヤツ、初めて見た」
くしゃっと可笑しそうに笑う玲太。
僕は割と玲太もその部類だと思ってました。
あ。コレは内緒で。
玲太の言葉に僕が何か返そうとすると、それより早く玲太は彼らの方に向かって歩き出した。
さっき見せた迷いみたいなのはもう感じられなくて、しっかりした足取りだった。
僕もそれに倣(なら)ってついていく。
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