球と玉とタマと…

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ー黒周Sideー 黒「ただいま」 憂「あっ!遅いっ!!黒周さん!」 黒「何を言いますか。 もう死に物狂いで走ってきたよ」 憂「黒周さんの車がね!?」 もーっ!と不機嫌そうに頬を膨らます憂に笑って、俺はリビングへと足を運んだ。 そしてソファに腰を降ろすと、ようやく家に帰ってきた感じがする。 憂「どこ行ってたのー?」 ストッと俺の横に座って俺を覗き込んでくる憂。 黒「ハクの学校。 ちょっとハクに用事があってさ」 憂「ふーん」 黒「ていうか憂、こんなの観てたの?」 目の前のテレビに映っているのはアクション映画。 あ。このアメリカ人の女優さん、見た事ある。 名前なんだったけ……。 憂「うん!」 黒「へえー。」 確か美味しそうな名前だった気がするなぁ…。 キャラメル?マカロン? チョコレート…? ダメだ。これは思い出せそうにありませんね…。 憂「……? 黒周さん?」 黒「……んー?何?」 聞き返しながら、チラッと時計を見るともう開店準備を始めなくてはいけない時間だった。 黒「あ。 仕込みしなくちゃ」 少し怠(だる)くて鈍い腰の痛みに内心苦笑しながら立ち上がろうとすると、隣の人物が俺より先にスクッと立った。 ?? 黒「やけに今日はやる気満々じゃないですか、憂さん。 明日、台風なんて勘弁ですよ?俺は」 ドサッ 黒「おわっ…」 突如、俺の膝の上に腰を降ろして来た憂。 黒「ちょっと、憂さん。 重いです。重量オーバー。 黒周さんの大腿骨(だいたいこつ)が粉砕します」 憂「そんな事ないよっ! 黒周さんの許容荷重が俺の体重より軽いわけないもーん」 黒「何言ってるんですか。 俺の許容荷重はワインボトル一本にも満たないんだから。 早く降りて」 憂の背中を軽く押して退かそうとしても、憂は足で踏ん張っているみたいで降りてくれない。 黒「店開けれなくなっちゃうから。 ほら。早く降りて」 憂「いいのーっ! 今日はお休みでーすっ」 困りましたね…。 黒「じゃあ憂はお休みで良いから。 黒周さんを解放して下さい」 憂「ダメッ!黒周さんと俺は今日はイチャイチャしながら寝るのー」 黒「お布団とでもイチャイチャしてて下さい」 そんな言葉のやり取りを続けていると知らぬ間に十分ほど経過してしまっていた。
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