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黒「憂。もういい加減降りて。
ホントに準備の時間が無くなっちゃうから」
俺がそう言うと、憂はう"ぅーと唸って俺の膝からは降りてくれないままこちらに向き合うように体を反転させた。
黒「痛い痛い」
憂「いーいーのー!
黒周さんはぁー、今日はお店休むのぉー!
おーねーがーい"ぃー」
頭を俺の肩に乗せてぐりぐりしてくる憂。
変だな…。
こんなにお店を開けるの渋ったことなんか、今までに一度も無いのに…。
面倒くさがっていても、なんだかんだでいつもお店を手伝ってくれてたしなぁ。
黒「だーめ。
ほら。どーいーて」
憂「ふーんだ!もう黒周さんなんか知らないもーん!けち」
あれ?
割とすんなり退いてくれた。
タタッと部屋を小走りで出て行った憂の背中を見送ってから、俺も着替えようと洋服ダンスのある寝室へ。
行ったのですが……
タンスを開けても一つもお店の制服がない。
あれ?
なんで?
バシャーン
黒「…??
憂ー?」
変な音が聞こえて俺はその音源だと思われる方に向かう。
多分お風呂場だと思うんだけど…。
ガチャッ
黒「憂、何の音?大丈夫?」
お風呂場のドアを開けて目の前に飛び込んできた光景に唖然。
黒「嘘…。」
切実に嘘だと思いたいです。
憂が俺の店の制服を何着も抱えて自分も服を着たまま、湯の張られた浴槽に浸かってるだなんて。
憂「えへっ!
全部びったんこ(笑)
お店、今日はお休みだねっ!」
黒「……。
……はぁー。」
深いため息しか出てこず、そのままへなへなと俺は床にへたり込んだ。
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