・ °* イブの夜に *° ・

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ホテルの部屋の中、 さっきよりも近くはっきり聞こえる呼び出し音。 「……電話、さっきから鳴ってる。いい加減出たら?」 シャワールームから出てきた冬夜は、スーツを脱ぎ捨てラフな格好。すっきり顔で髪をタオルでガシガシと乾かしながら私に言った。 「…出ないの?」 プレゼント交換の後、先に私がシャワーを浴び、次に冬夜がシャワーを浴びに行った。 その間にも私のスマホは何度も呼び出し音を奏でては鳴り止んでを繰り返していた。 「……」 テーブルの上に置いてあるスマホにそっと手を伸ばし確認する。 液晶画面に浮かび上がる名前、それは親友の琴実だった。 「……なんか…出たくない…」 「ははっ…」 少し笑うとベッドに腰を下ろした冬夜はそれ以上追及せず、途中コンビニで買ったビールを袋から取り出し、煽って飲んだ。 1人呑気に至福の顔を浮かべる彼。 …琴実は諦めたらしく、着信音は止まった。
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