・ °* イブの夜に *° ・

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お互いずっと仕事が忙しかった。 …せっかく、会いたくて仕方なかった彼と久しぶりにこうして二人っきりになれたのだ。 …電話に出たら、 この特別な時間は途切れる。 現実に引き戻されてしまう…。 例え親友でも今は、 …今だけは、せめて、 後もう少しだけ… 戻りたくない。 邪魔、されたくない。 そう、強く思って…。 ベッドに優しく押し倒され、 冬夜が私の上に覆い被さる。 さっきまで冷たかった彼の身体はすっかり温まり、今は熱を感じる。 吐息が熱い。 流れるように彼に私は身を任せた。 …これは 確かに愛故の行為。 私は彼を求め、 彼は私を求めた。 愛で身も心も全て… 満たされていく。 幸福感。 私は噛み締めるように ゆっくり身体に染み込ませるように この温もりを忘れないように… 彼の愛を確かめた。 「………冬夜…」 彼が愛しくて… 情事の間、昂り溢れる感情は 熱を伴いながら 静かに涙となって頬を伝う。 …もう、 止まらなかった。
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