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「……なにを…言っているの? 美雪…」
「なにって…
イブの夜を彼と一緒に過ごしてたの。
……約束だったから。
それより琴実、ごめん。
電話何度もくれたのに出なくて…」
私はそこで言葉を切った。
私の話を聞きながらみるみる青ざめていく琴実が気になって。
「…琴実、顔が青いよ。大丈夫?」
「大丈夫かって…
聞きたいのはこっちの方よ! 美雪っ! しっかり気を持って…!」
「………え?」
琴実は目に涙を浮かべ、しゃがみ込むと私の腕を掴んだ。 私は同じ目線の高さになった彼女の瞳をまっすぐ見つめる。
しばらくして彼女は、何かを堪えるように顔を伏せた。
ポトリと彼女から溢れた涙は、昨夜のうちに積もった雪へ吸い込まれ、
静かに消えた。
「……あ、雪、積もったんだね。
ホワイトクリスマスだ」
今頃景色が雪化粧していることに気がついた私は、呑気な声で琴実に話しかける。
「………っ!!」
彼女は声を押し殺して泣いて、そして私を抱きしめた。
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