・ °* イブの夜に *° ・

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「……美雪…。 酷だと思うけど…思い出して? 昨日1日、私と一緒に居たでしょ?」 「……昨日…琴実と? …あれ? ……………思い出せない…」 昨日のことなのに頭から記憶が抜け落ちていた。 ……私は昨日昼間、なにをしていた? 思い出せない… 否。 ……思い出したくない……。 「……昨日は美雪と冬夜さんの命が産まれ落ちた、イブの日。 …その日に彼が、空へと昇り帰っていくのを一緒に…見送ったでしょ?」 「……思い出せない……」 と、言ったのは嘘で、 その時の光景が目に浮かんだ。 「亡くなったのは、少し前で…突然だったけれど、彼はあなたに大切なもの、遺してくれたでしょ? ……辛いだろうけど、美雪。 しっかりしなくちゃ……」 「……大切な……もの……」 私は、はっとなって空を見上げた。
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