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「……眩し…」
雪はすっかり降り止んでいた。
朝日が目に染みる。
…思わず目を細めた。
雪結晶…
大切なひとひらの結晶は今、
私の目に止まらない。
「……冬夜っ…!」
空に向かって呼び叫んだ。
…だけど、
空からは何も返ってこない。
吐く息は白く、
冷たい空気が喉をさす。
苦しくて…
うまく、息ができない。
苦しい。
胸が締め付けられて…苦しい。
まさか、こんなことが
私達の身に起こるなんて …!
「……冬夜っ…」
……嫌だ。
私…認めたく、ない…!
震える指先で冬夜の番号を押して、スマホを握りしめ、耳にあてる。
暫くそのまま耳を澄ませた。
「……っ…」
……涙が勝手に込み上げて来るのがわかった。
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