・ °* イブの夜に *° ・

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柔らかい雪の上、応答のないスマホは私の手から滑り落ち静かに沈んだ。 身体が動かない。 冷たく、凍りついてる。 「…美雪…」 私の名前を呼ぶ琴美の声が遠い。 「……本当はね…私、 ちゃんとどこかで…」 気づいてた。でも… 認めたくなかった。 それなのに… 辛い事実がこれは現実だと、 私を攻め立てる。 「……電話をかけても、 もう…彼には……」 すがり付くように琴実を抱きしめた。 「…美雪……」 「……繋がらない… もう、冬夜にはっ…冬っ……!」 「………」 琴美は無言で私をぎゅっと抱きしめ返してくれた。 『美雪ごめんな…』 「…うっ、わぁあぁっ!!!」 彼の声を思い出して、場所をはばからず私は子供みたいに泣いた。 悲しすぎて苦しくて、 引き裂かれたみたいに痛くて、心の中はぽっかり穴があいて暗闇に占拠されているというのに、 彼女の肩越しに見る景色は 一面雪で真っ白で 涙が滲むと光が反射して 雪結晶の模様に目の前を煌めかせていた。
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