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「…いらっしゃい。どうぞ」
「…お邪魔します…」
彼女は静かな笑顔で私を招き入れてくれた。
挨拶もそこそこに、そのままリビングへ。ソファーに座るよう促され私は大人しく従う。
「お茶を淹れてくるから待っててね」
「はい…」
広いリビングに私1人取り残されて。
部屋をじろじろ見るわけにもいかず仕方なく、すぐそばの出窓から外を眺める。
……あ。…また、粉雪。
今朝は晴れていたと言うのに……。
はらはらと舞う雪は窓に当たるとそっと消えていく。何度も何度も繰り返し儚く散る雪をじっと見つめた。
「…琴実、風邪引いてないかな…」
琴実は、忽然と消えた私を心配して昨夜一晩中探してくれていた。
朝、駅で雪に埋もれ、うずくまってる私を見つけてとても慌てたらしい。
彼女は言う。
『駅には何度も探しに行ったけど、美雪はいなかった…』
…心配して探し回ってくれたことに申し訳ないと思いつつ、琴実の優しさがとても嬉しかった。
「……」
……でも、疑問が残る。
「……何処までが夢で……
……幻だったんだろ…?」
静かなリビングにポツリと言葉を置いた。
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