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私の記憶はやっぱり変わらなくて、
私は昨夜、確かにそこに
彼の温もりを感じた…。
…亡くなったはずの彼と一晩過ごしている。
だって、私の服…
「生クリームの匂いがする…」
……はぁ。もう、おかしすぎる。
私、疲れてるのかな?
頭がうまく働かない。
私は頭を大きく左右に振った。
「……これからどうしよう…」
私の彼は死んだ。
冬夜の顔を思い浮かべると悲しくて自動的に涙が作られて、胸は締め付けられた。
冬夜の居ない世界を私はこれから一人で生きていかなければならない。
この先を考えると不安で心細くて、心が押しつぶされそうで…胸がずっと苦しい。
どうしたらいいのか分からない。
だけど…
これだけは心に決めていた。
私は一人でも、
冬夜が居なくても…
“諦めない”と…。
「…冬夜のバカ!」
「美雪さん?」
!!
「は、はいっ!」
独り言を聞かれたかもしれないと思い、慌てて返事を返しながら彼女の顔を見上げた。
「お茶どうぞ。それと…これ、
あの子のものだけど、嫌じゃなければ……
受け取ってくれる?」
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