・ °* イブの夜に *° ・

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「……………」 窓の外は変わらず雪が静かに舞っていた。 暫くの沈黙。そして… 「……知っていたわ」 「………え?」 思わぬ返事に私の方が驚いた。 「……なん…で? え? 私、まだ冬夜くんに言ってな…」 妊娠発覚後、お互い仕事がとても忙しくて…数週間会っていなかった。 電話では告げたくなくて、だから、 クリスマス。 私は彼にサプライズで報告をしようと思っていた。 「……もう一つ。これ。 冬夜の部屋から出てきたの。 だからまさかと思って…あなたを今日呼んだの」 「!」 それは雑誌とパンフレットだった。 ブライダルウェディングと大きなロゴが踊る。 教会、そして、花嫁姿の笑顔の女性… それたちの間に挟まれてあったのが… 『赤ちゃんを迎える準備。父親のやくわり』と、タイトルが書かれた本…… 「……これ、本当に冬夜くんが…?」 信じられなかった。 まさか彼に気がつかれていたなんて……
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