・ °* イブの夜に *° ・

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。.*・゜.。.:*・゜☆.。†.:*・゜.゜。 「…美雪!」  …声のする方へ顔を向けると、 彼がいた。 スーツ姿にグレイのコートを羽織って、マフラーも手袋もせずに人混みを掻き分け、彼は私の元へ近寄ってくる。 しゃがみ込んでいた私は思わず立ち上がり、そのまま彼の方へ近づいて行った。 「ごめん。待たせた」 身体の奥深く、芯まで冷えきっていた私の身体は、 彼の瞳、声、表情、しぐさ… 一つ一つに化学反応して熱を取り戻していく。 「……うん、待った」 すねた顔で見上げると、 彼は少し困った表情を浮かべた。 「…本当にごめん。 ケーキ買ってきたから。生クリームたっぷりのケーキと、チョコレートケーキ」 「…ホール、二つ分!?」 彼はケーキが入った箱を二つ胸元まで持ち上げて、にかっと笑った。 「今日は俺たちの誕生日だからね」 さも当然と言って退ける彼を見て、自然と私の顔から笑顔がこぼれた。 そう。今日は、 クリスマスイブ。 そして 私美雪と、 彼冬夜(とうや)の誕生日だった。
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