終わる前の閑話休題小咄

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【交渉 2】 「だから俺の祖母ちゃんに何てことしてくれてんですか、タカさんは。」 『だから、餞別だと言ったろうが。わしやウカの親心みたいなもんだ。』 『いや、俺は反対したよ?泉実はお祖母ちゃん子だから、会えたら嬉しいだろうけど、その後怒るだろうって。なのに、タカがどうしてもって。』 『あ!おまえ!自分だけ泉実に 許してもらおうと思って!汚いぞ!座敷わらしの件はおまえの方がっ』 「泉実ちゃん、何してんの?」 華原さんが変な顔をしたので、俺は御守りを見せた。 きっと、俺が独り言を言っているように見えたんだろうな。 そして、御守りの向こうからは、どったんばったんとやかましい音が聞こえてきて、会話にならない。 「祖母ちゃんが守護神並みの守護霊化したことを抗議してたんです。ですが・・・」 『高天原創世エルボー!!』 『超高速九尾ビンタ!!』 「ウカさんとタカさんが、二人で何か遊び始めてしまって、俺を無視するんですよ。」 「早く止めなさい。高天原崩壊してとばっちりで日本消滅とか、情けないから。」 え。 その後、二人の声にいろいろな神様らしき声が混じったあと、御守りを通して『しばらくあの二人は謹慎させるから連絡しないでね』と女性の声で告げられ、遠くから『テル子ちゃん、ごめんて!もうしないから!』と謝るタカさんの声が聞こえたような。 確かテル子ちゃんって・・・・・・ そして、天照大神から正座付き説教されてるらしき声に、俺はそっと御守りをしまった。 二人に、ちょっと悪いことをしたかなと、さすがに俺も反省。 自分がたちの悪いクレーマーに思えてしまった。 .
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