バイバイ、人間

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「メリー・クリスマス!」 そう言って、お客さんたちが狭い店の中ではしゃいでくれたのは、ほんの数時間前で。 それぞれ、都合でバラバラに帰りながらも、俺に声を掛けてくれたり、抱きついてきてくれたり。 「元気でね、泉実ちゃん。」 「また店開けてよね、待ってるから。」 「幸せになるんだよ、兄さん。」 最後のお客さんが帰り、閉店時間を迎えた店は、俺とミハイさんしかいない。 外に出て、いつものように暖簾を片付ける。 その暖簾に、一言、「お疲れさま」と声を掛ける。 俺は、今日、店を閉じた。 人間を辞めるために。 .
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