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「咲穂は仕事続けたいんだよな?もし、そうなら俺も出来るだけ育児や家の事を協力できるようにしようと思ってる」
ユキの口から出てきた言葉は昨日とは打って変わって穏やかで、そして私の意思を尊重してくれるものだった。
すごく嬉しかった。
と同時に目頭が熱くなって、また私の視界をぼやかす。
「咲穂?」
咄嗟に手の甲で目頭を押さえる私にユキが心配そうに覗き込んでくる。
「ごめん。本当に最近、涙腺がゆるくて……」
目から零れ落ちそうな涙を拭いながら鼻を啜る。
「いや。俺の方こそ、ごめん。咲穂の気持ちも考えないで俺の都合を押しつけるような事ばかり言って」
謝りながら立ち上がり、ティッシュを2枚取って手渡してくれた。
私はソレを受け取ると迷わず目に押しつけ涙を沁み込ませる。
違う。
違う、そうじゃない。
ユキが悪いわけじゃない。
私が我儘なだけなんだって言いたいのに言葉にならない。
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