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恥ずかしい。
こんなことで泣いてしまうなんて、まるで子供みたいだ。
恥ずかしさと情けなさで涙が止まっても、しばらくは顔を上げることもティッシュを手放すこともできなかった。
それでもユキは何も言わず、私が落ち着くまで待っていてくれた。
「大丈夫か?」
ティッシュを握りしめたまま顔を上げた私にユキが心配そうに見てくる。
私は少しバツ悪そうに笑ってみせると、ゆっくりと口を開いた。
「昨日の事なんだけど……」
私の言葉にユキが反応するのが分かる。
「昨日の今日でコロコロ変わりすぎだってことは分かってるんだけど、当初の約束通り仕事は辞める」
ズルい言い方。
これじゃ、結局のところユキとの約束を守って辞めるんだって言っているように聞こえる。
―――そうじゃないのに……
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