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「あー…」
ナツは、迷っているのか頭を掻きながら考え込んでいる。
晴とナツは小学校からのライバル的存在だった。
徒競走など体育会での二人の勝負はいつも白熱していた。
《別に、ソフト部がイヤと言う訳でもないんやけどなぁ…》
ナツは、考えに考えた結果。
「わかったよ。
俺が晴の変わりにソフト部のピッチャーするよっ!」
「本当!?」
ナツがやると言うと、美樹は満面の笑みになった。
「あぁ、でも俺投げ方しらんぞ?」
ナツは、そう言って手首で投げる仕草をした。
「大丈夫!ウチが教えるけん!」
そう言う美樹の顔は本当に嬉しそうだった。
「ナツ、よかったと?」
チエは美樹が嬉しそうに席に戻った後ナツにそう聞いた。
「チエがしろって言ったじゃん?」
ナツは少し呆れたようにチエに言った。
「笑”
だって、ナツの試合しとる姿見たかったっちゃもんっ!」
チエはワクワクしながらそう笑ってみせた。
「試合しとる姿なら、こないだ見とったやん」
ナツはこの間の誕生日の日にした草野球の話をした。
「違うもんっ!」
「へっ?」
「ナツがリトルの時みたいに
大観衆の中で、どんなに負けている時でも逃げずに相手に本気で投げる姿が見たいと」
「…笑”
それ、決勝の時の話してんの?」
「そっ!」
リトルリーグの優勝を掛けた決勝戦。
ナツは5回から登場した。
それまでは、ナツのチームが2点を追う試合になっていた。
ナツは負けているのにもかかわらず、フォークやカーブを使わず、全てストレートで三者凡退にしていた。
そして、追加点を最終回で3点入れ
ナツ達は優勝した。
「笑”
知ってる?
ナツあの時みんなから怒られてたんだよ?
“フォークやカーブ使え馬鹿ちんが!!”って笑”
でも、ナツ誰にも打たせなかったから
みんな言葉失ってたんだよね笑”」
チエは決勝戦の事を思い出しながら笑っていた。
「ってか、大観衆言いよるけど
今度やる試合は練習試合やけ見物人すらこんかもよ?」
ナツは冷静にそう言うと
「でも、新人戦だっけ?その時に勝ち上がって行けば、
また大観衆の中ナツが投げる姿が見れるやん!」
チエはまたワクワクしなが笑っていた。
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