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『さぁ、高橋選手
振りかぶって…
第一球…!!!』
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ドテッ!!!
「ぃって」
フローリングの床に高橋夏はベットから落ちた。
一見女の子とは思えない外見。
見た目はほぼ男だった。
そんなナツの部屋にはやはり女の子とは思えないダンベルの数。
本棚には漫画や野球雑誌、他にはなにかの写真集。
他にも賞状やトロフィーなど…
この部屋はスポーツマンの部屋と言った方がいいかもしれない。
そして、勉強机には女の子と写っているツーショット写真やら野球チームの写真が飾られていた。
「夢かぁ…」
ナツはやっと目が覚めたのか、床から起き上がると勉強机の隣りにある出窓から外をながめた。
コンコンッ
ナツは正反対に位置するドアに目をやった。
「おはよォ」
そう言って入ってきたのは中原ちえ。
どう見ても普通の女の子だ。
「アレ?まだ着替えなかったと?ナツ?」
ナツは申し訳なさそうに
「ゴメン、チエ俺今起きた」
と答えた。
「いいよっ、じゃ
下で待ってるから」
チエはドアを閉め階段を降りて行った。
今日は8月1日。
二人の誕生日だ。
毎年この日には二人で出掛け二人で自分達の誕生日プレゼントを買うようにしてあった。
だが一度だけ誕生日の日が電話だけになった日があった。
それはナツとチエが小6の時。
ナツはその頃リトルチームに所属しており、ナツはそのチームのエースだった。
そして丁度その日に試合が組まれ二人は誕生日おめでとうとだけ言合った。
「お待たせっ」
下に居たチエにナツは笑顔で手を振った。
「笑”、ボタンずれてるよ?」
チエはニッコリ笑いながら、ナツのポロシャツのボタンを付け替えた。
「あっ、ゴメン笑”」
ナツの外見のせいか、二人ははたから見れば付き合っているかのように見える。
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