ナツとチエ

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「ん?」 二人は近くの土手にある野球場を通っていた。 今は小学生の軍団が試合をしていた。 ナツはその光景に目が行った。 「したいと?」 チエはナツの目線の先を見てそう言った。 「あっ、イヤ、今日はチエと一緒に居る約束やし…!!」 「いいよっ笑”」 「え?」 「笑”  ナツから野球とったら何も無くなっちゃうもん笑”」 「えー!なんだよそれェ笑”」 ナツはチエに言われた事に突っ込みながら、もう気持ちは野球の方に向いていた。 「なぁ!俺も入れてくれよっ!」 ナツは野球をしている少年達に声を掛けた。 「いいぜ!一人いなかったし。  でもお前野球出来んのかよ?」 少年はナツにそう聞くと、見下すようにナツを見た。 「大丈夫、これでも結構上手いんやで?」 ナツは野球チームに参加すると、負けている方のチームに加わった。 「兄ちゃんピッチャーしてよ」 「おう!  ピッチャーは俺の本職だからな」 ナツは兄ちゃんと呼ばれた事には突込まなかった。 「俺キャッチャー。  兄ちゃん、リトルリーグの優勝ピッチャーだろ?  高橋夏だっけ?」 キャッチャーの少年は偉そうに言うと、ボールをナツに投げ渡した。 「兄ちゃんの本気の球投げてみてよ」 そういうと、ホームに走った。 「ハハっ…  最近のガキは偉そうな奴が多いな💧」 ナツは少年に呆れていると、久々の軟球のボールを懐かしそうに扱い マウンドに立った。 《てかアイツ、サイン教えてくんなかったな》 ナツは土をならしながらキャッチャーミットを見た。 キャッチャーミットは気持ち良いぐらいにど真ん中にあった。 《…ま、軽めに投げとくか》 ナツは、軟球を握り静かに構えた。 ナツの持ち球は、ストレートにフォーク。 そして時々カーブ。 そして、ストレートMAXは145㎞。 そこら辺の小学生が取れる早さじゃなかった。 そしてナツのフォームはアンダースロー。 《…っ》 バンッ ナツの放った球は、キャッチャーミットの中に治まった。 「なんだ?あの投げ方?」 他の少年達はナツのフォームに興味を持ったのかナツのフォームをジロジロ見ていたが、キャッチャーの少年は不満そうだった。
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