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試合の結果は負けていたナツのチームが勝った。
「兄ちゃん上手過ぎや!
今度俺らのコーチしてくるよ!」
一番最初にナツと話した少年はもうナツに尊敬の眼指しを浴びせていた。
「ん~?まっ、考えとくよ」
ナツは適当にあしらうとチエの元に走った。
「ゴメンな、チエ」
「いいよ笑”
ナツの野球してる時の顔好きだもん」
チエはそう言ってナツの手を軽く握った。
「?
あれ?
ねぇ、ナツあの子…」
「…ん?」
チエがナツが今まで居た方に目線をやったので、ナツもそれに合わせた。
「なんだ?キャッチャー少年?」
ナツは、自分に向けられた殺気にも似た目線の送り主に話掛けた。
「兄ちゃん、本気で投げろって言っただろ!?」
どうやら少年はナツが本気で投げなかったのに腹をたてているらしい。
「あのなァ…お前みたいなチビに俺の球取れるのか?」
「取れる!」
「………💧」
ナツは少年の真っ直ぐな目を見て、少し呆れた。
「ケガしても知らんぞ?」
ナツがそう言うと、少年の顔をパァっと明るくなった。
「ゴメンな、チエ
もうちょい待ってて」
ナツはチエに軽く謝ると少年の元に歩いた。
「1球だけでいいか?」
「おう!!」
少年はホームに
ナツはマウンドに立った。
バンッッ!!!
ナツが投げた球は、キャッチャーミットに入ったもののミットからこぼれた。
「いってぇ…」
少年は球を受けた左を押えた。
「じゃあな、少年!」
ナツはそれだけ言うとチエの元に急いだ。
「あ、ありがとうごさいました!」
少年はナツに対して頭を下げた。
「あいよっ」
ナツは振返らずに片手を上げ、振ってみせた。
「大人気ないねぇ、ナツは」
そう言って、ナツの額をパチンと軽く叩いた。
「痛いよ…」
「我慢しなさい?
それでも
リトルリーグ元全国NO.1ピッチャーでしょ?」
「今やっても俺が一番たい!」
そう言うとナツは得意気に笑った。
「笑”でも、去年みたいに無力したら
ダメだよ?」
「分かってるよ」
チエに軽く念を押されたナツは少しいじけた。
「笑”
でも、ナツのそんな所好きだから
ちょっとぐらい無力していいよ?」
「どっちだよ笑”」
また二人は笑った。
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