ナツとチエ

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ナツとチエが通っているのは城翔中学だ。 この中学にはとんでもない監督が居た。 それはナツが中学に入学したての頃 野球部に入部届を出したが それを監督が却下した。 それをナツが反論して他の教員達を味方に付け、6月になって入部が認められた。 その事が気に食わなかったのか、監督はナツを毎日ピッチングマシーンのように扱い 1日に何千球も投げさせていた。 それを知ったチエは、入部の時に手伝ってくれた先生に訴えようとしたが それをナツに止められた。 「俺はアイツの鼻へし折るけん、それまで待ってて」 そう言って何度もナツにチエは止められていた。 そして、中1の終わり頃事件は起こった。 監督がナツを殴ったのである。 その日は他校との練習試合で監督の気に入っているピッチャーがボロ負けを記した日だった。 つまり、憂さ晴らしにナツを殴ったのだ。 それを通りかかった教員が校長に言い それからナツに対して行われていた事が判明し その監督は首となった。 そして、今年の監督はナツを積極的に練習試合に出した。 「ナツゥ!」 「ん…?」 「おめでとっ!」 チエはナツが試合に出れるようになった頃 そう言ってナツに抱き着いた。 「ナツは、自分一人で戦ったみたいな事思ってたかもしれないけど、ウチもナツがあんなに無茶してるの黙って見てたんだからね?  ウチもナツと一緒に戦ってたんだから!」 チエはナツの首を軽く締めた。 「ありがとうね、チエ笑”」 そう言うとナツもチエを抱き締めた。 「笑”」 そして今、城翔中学は予選に負けて時間を持て余していた。 今年の夏休みは、ゆっくりできる。 そう二人共思っていた。
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