一章

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ところで、先程「行ってきます」と言った真紀には「行ってらっしゃい」と答えてくれる人はいない。彼女はもともと一人っ子であるし、両親は一年前に他界したのだ。仲睦まじかった真紀の両親は、二人で外出した折に飲酒運転をしていた車に轢かれ、この世を去った。 独り身になってしまう彼女を案じ、母方の親戚が引き取ろうとした。 だが、「長年両親と住んでいた家を今後も守りたい」という彼女の意志を尊重し、両親の親戚から毎月仕送りがなされることとなった。
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