第3章 神谷家の人たち

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兄貴の横にいた新人らしい看護師や医者達が驚いているのがわかった。 いつものことだが、 兄貴の鋭い目が不機嫌さを物語っていた。 これは早々に立ち去った方がよさそうだ。 「母さんに頼まれてこれ持ってきたんだよ。」 メモリ の入った封筒を兄貴に渡した。 中身を見た兄貴はますます不機嫌さを増した。 「空の メモリ だ」 「!母さんの勘違いだ。」 (おふくろ~やってくれたな・・・) 「そっか、だいじなものじゃなくてよかったよ」 俺は早々にその場を立ち去ろうとした。 「神谷仁さん!ありがとうございました。」 政恵は深々と俺に頭を下げた。 「ああ、どういたいまして、気をつけなよ、でも一度検査してみたら? いきなり倒れるなんてどっか悪いんじゃないの・」 「え?あ、はいありがとうございます。」 「じゃバイ。」 兄貴のもう来るなと言うまなざしを感じながら出口に向かった。 自分の手を見て振り返って政恵を見た。 (この感覚、奴らじゃない、黒い・・これは・・・・死の影) 兄貴とわらって話をする政恵、俺は再度出口に向かった。 それと同時に政恵が俺の方を熱いまなざしで見ていたことには気が付かなかった。
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