第3章 神谷家の人たち

2/4
前へ
/14ページ
次へ
「じん ちゃん! じん ちゃん!」 下で母親が叫んでいる・・・ 「なんだよ~うるさいな~」 母親があわてた様子で俺を呼んだ・・・ 母親は見た目こんなおれでも怒 ったり、 諭したりすることはないむしろ・・・ 「見てみて~これ仁に合うと思って昨日買って来たの ー。」 どくろの印刷のされたシャツを広げてうれしそうにしている・・・ 「別にわざわざ買ってこなくてもいいのに・・・」 子どもの服を買うのが楽しいらしい 「お兄ちゃん買ってきても着てくれないけど じん ちゃんは、着てくれるでしょう?」 まあ母親の買ってくる服は好みなものばかりだが、 上品な物腰の母がどんな様子でこんな服を買ってくるのかと不思議だ・・・ 「あら?忠士さん大事なデーター忘れているわ~」 「兄貴が?めずらし~」 まじめで勤勉なお堅い兄貴。 きっちりとした性格で忘れ物なんてめったにしない。 「困ったわ~これからお友達と約束があるの」 「俺が持っていくよ、今日の講義は昼からだから」 「ごめんなさいね、お願いするわ!」 出かける準備をしに二階に上がっていった母をながめて 改めて兄貴の忘れていったUSBメモリをながめていた・・・ (嫌がるだろな、兄貴・・・・) 俺は兄貴に嫌われている、理由は品性にかける俺が弟なのが嫌らしい・・・ ヘルメットをかぶりバイクにまたがった。 母が、大きなバックを抱えて出かけるのが見えた。 父にいつも従順な母、その母が最近こそこそと何かしている。 それを知っているのは多分俺だけだろう。 父や兄にこのことを言うつもりもないし、 母のすることに反対も賛同もするつもりはない。 それは決して悪い方に行かないことを 俺が解っているからだ。母のオーラは綺麗だ・・・
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加