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兄の勤める病院につくと駐輪場にバイクを止めて降りた、
その時病院に一台のタクシーが止まった。
どこの年寄が降りてくるかと思ったが、
降りてきたのはいかにもお嬢様と言う感じの女性。
薄いピンクのカーディガンに白いワンピース、
サラサラのロングヘアの若い女性だった。
花束を持っている、入院患者の見舞いか?
タクシーの脇を通り自動ドアに向かおうとしたら、
女性がいきなり倒れた。
とっさに手を伸ばして支えたが
はずみで女性を抱えたまま転んでしまった。
「痛って~」
倒れた時に床に付いた手が痛んだ。
ふわっと、いい匂いが女性の髪から匂う。
「えーと、どいてくんない?」
呆然と俺を見つめる女性。
「ご、ごめんなさい、すみません、ほんとに」
「急にめまいがして、ごめんなさい、ありがとうございました。」
立ち上がった女性は顔を真っ赤にして
照れくさそうにしていた。
久しくこんな純情そうな人間見たことないな、
と思っていたら後ろから
「政恵さんどうしました?」
兄の声がした。
「仁・・・なぜおまえがこんなところに居るんだ。」
俺を見るなり兄貴は言った。
「神谷先生、叔父がお世話になっております。」
政恵と呼ばれた女性は兄貴にそう言ってお辞儀をした。
「こちらに方に倒れそうになったのを助けていただいたのです。お知り合いですか?」
「ああ~弟です」
いやそうに兄貴が言った。
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