第3章 神谷家の人たち

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兄の勤める病院につくと駐輪場にバイクを止めて降りた、 その時病院に一台のタクシーが止まった。 どこの年寄が降りてくるかと思ったが、 降りてきたのはいかにもお嬢様と言う感じの女性。 薄いピンクのカーディガンに白いワンピース、 サラサラのロングヘアの若い女性だった。 花束を持っている、入院患者の見舞いか? タクシーの脇を通り自動ドアに向かおうとしたら、 女性がいきなり倒れた。 とっさに手を伸ばして支えたが はずみで女性を抱えたまま転んでしまった。 「痛って~」 倒れた時に床に付いた手が痛んだ。 ふわっと、いい匂いが女性の髪から匂う。 「えーと、どいてくんない?」 呆然と俺を見つめる女性。 「ご、ごめんなさい、すみません、ほんとに」 「急にめまいがして、ごめんなさい、ありがとうございました。」 立ち上がった女性は顔を真っ赤にして 照れくさそうにしていた。 久しくこんな純情そうな人間見たことないな、 と思っていたら後ろから 「政恵さんどうしました?」 兄の声がした。 「仁・・・なぜおまえがこんなところに居るんだ。」 俺を見るなり兄貴は言った。 「神谷先生、叔父がお世話になっております。」 政恵と呼ばれた女性は兄貴にそう言ってお辞儀をした。 「こちらに方に倒れそうになったのを助けていただいたのです。お知り合いですか?」 「ああ~弟です」 いやそうに兄貴が言った。
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