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白猫はくくくと咽喉を鳴らした。
踏み込む足に力を入れる。擦り抜ける様に深緑を縫い進む。
異形に成れ果てた自分が逃げ出す、あの方にしてみればそれも戯れの一つなのかもしれない。が、悪足掻きでも、贄としての、家畜としての最後が天命などど、そんなふざけた最後など受け入れることが出来ようか?
――そんなモノは認められない。自分の死に場所ぐらい、自分で決めるわ。
白猫は迷わず禁忌を犯す。人里へ。あそこに出れば、あそこまで行けば…。
二つの尾が揺れる。まもなく…――まもなく、光が…見えた。
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