【序幕】怪異 -Black Street-

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「あ、あ、…」  ようやく発せられた言葉はもはや言葉の形をしていない。それを見て獣は愉快と口を歪める。それが一層の不気味さを感じさせ、少女はただ地べたに這い蹲るように倒れた。  猛獣の前では人は弱い獣でしかない。牙を剥く事すら許されない。かと言って気を失う事も出来ず、肉体に起こった反応はもう指すら動かせない力の消失だった。
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