【序幕】怪異 -Black Street-

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『悦べ、人の娘よ。お前は百暎様の贄に選ばれたのだ』  言葉を認識する前に、少女の思考は闇に閉ざされる。しかし、意識を失ったわけではない。  蟲が、無数の蟲が少女の躯を覆いつくしたのだ。しかし、全身を這いずるおぞましい蟲の感触は少女には感じない。  今し方、少女に残った僅かな自我が瓦解した。  感情が崩壊した今、それは正に廃人と呼ぶに相応しく薄らと口元に笑みを浮かべてる。
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