プロローグ

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恋愛小説にはいつだって主人公に恋する登場人物が存在している。 それは例えば幼なじみ。 例えば部活の後輩。 例えばバイト先の先輩。 そして例えば主人公の親友。 彼らは物語の中で主人公と結ばれることもあれば、 結局ただの当て馬になることもある。 そして当て馬になってしまった彼らは 物語の中で、自分が脇役であったことを知っていく。 自分は主人公に選ばれなかった。 自分の想いが報われることは決してないのだと。 残酷なようで だけど現実ではありふれていること。 脇役だらけの物語で この世は溢れている。 そして 言うまでもなく俺は脇役だった。 主人公に恋をしていて、だけど想いは報われない親友、それが俺だった。 この世界の語り部達は、きっと誰も俺を主人公には選ばないのだろう。 だけど俺にだって いや、俺にしか語ることのできない物語が存在しているのだ。 読者なんて気にしない、自分本位の、身勝手で、独りよがりの物語が。 だから俺は、それを語ろうと思う。
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