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自動販売機の3つ並んだカウンタが勢いよく回り始めた。
気にも留めず屈んで缶コーヒーを取り出す。
最初のカウンタが7で止まった。
つり銭の数を数える。
2つ目のカウンタが1で止まった。
小銭入れに硬貨を滑り込ませる。
3つ目のカウンタが7で止まった。
「717――“ないな”か。俺らしい。」
自嘲気味に鼻で息を吐き、立ち去ろうとした時だった。
ピピピピピピピピ!
自動販売機のカウンタが点滅をはじめる。何事かと振り返ると、2つ目のカウンタが再び回転を始めたところだった。小さな画面に「チャンス!」の文字が躍る。
時実一(ときざねはじめ)の心臓も微かに躍りだした。
まさか、本当にこんなことが。
一は昼間に聞いた部長の話を思い出していた。
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