真白 天

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パパは、お日様に似ていた。 陽だまりみたいなあの暖かさも。 優しいにおいも。 明るい笑顔も。 全部。 私は、パパの腕の中で眠るのが大好きだった。 たくさん、たくさん愛してもらった。 だから。別にママが家に帰って来なくても、寂しくなかった。 だってパパがいてくれたから。 でも。 大好きだったから。 失った時の悲しみが、とてつもなく大きかった。 私が、小学校にちょうど上がった頃だった。 パパは、交通事故で亡くなった。 あの日を今でも忘れられない。 だって。道路に飛び出した私を庇ったせいで、パパは亡くなったから。 どれだけ泣き叫んでも、パパが返事を返してくれる事はなかった。 あんなにも暖かかったパパの腕は、凍ったみたいに冷たかった。 それから。 私の生活はガラッと変化した。 ママはもともと男癖が悪かったけど、パパのことはちゃんと愛していた。 だから、ママはそんな私をいいように思うわけもなくて。
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