空から落ちた天使の羽

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あんなにも幸せだった時間は、もう戻って来てはくれないから。 寂しいなあ。なんて思ってしまわないように、笑って誤魔化した。 気持ちを紛らわすようにカーテンを開ければ、朝日が射し込んでくるけど。 そこに温もりはなかった。 …ああ、嫌だ。寒いなあ。 もう一回寝ちゃいたい。 頭ではそう考えていても、身体は反対に動くから、不思議。 なんとなく。 今朝は目が冴えてしまって。 私はお気に入りの白いマフラーを巻いて、いつもより早めにマンションのドアを開けた。 「うわあ……、さむっ!」 ドアを開けると、そこは一面銀世界。 ちらほらと雪も降っている。 これは寒いわけだ。 多分これが初雪で、感動して思わず声を上げた。
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