空から落ちた天使の羽

4/10
前へ
/131ページ
次へ
冬は寒いからそんなに好きじゃないけど。 歩くたびにサクサク鳴る音とか。 雪が朝日に照らされて、キラキラ光っているところとか。 純粋な白とか。 クリアな空気とか。 そういうのは好きだ。 まだ太陽が登りきっていないから、空はまだ薄暗い。 そんな空の雲と雲との間。 射し込む朝日と一緒に落ちてくる雪は、天使の羽みたいだと思った。 ふわふわ、ふわり。 意味もなく空に向かって息を吐いた。 「……寒いなあ」 ぼんやりと。空を眺めていたらお腹がすいていることを思い出したから。 私はお隣のドアを開けた。 一応インターフォンも押してみたけど、いつも通り。返事はなくて。 おじゃまします。と呟いてから、中に入った。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加