第1章

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小糠雨(こぬかあめ)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 『わたし達って、いつどこで出会ったか覚えてる?』 そう訊いてきた愛しい女(ひと)の問いに思わず嘘を吐いた ‘覚えてないわ’と 私、上手く笑えているかしら…? 貴女が、私達の出逢いを覚えていない事にショックを受けている私を気取られていないかしら…? ねぇ 貴女の一言一言に胸が疼くの たわいないこの会話もこの言葉も、私には痛い… 胸に突き刺さる貴女の声はしっとりとした小糠(こぬか)雨のように婀娜(あだ)っぽい 『…ねぇ』 「うん?」 『私、アンタの声が好きだよ』 婀娜っぽい声が無邪気に笑う まるで…何も知らない子どもの様に …どうしてそんな事を言うの? 想いが止められないじゃない……… ほら 「………愛してる」
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