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頭痛が止み安堵の息を漏らしては目の前に顔を寄せ楽しげな笑みを浮かべているチシャを思わず青年は睨み付ける。 青年の反応がお気に召したのかチシャはより一層笑みを深めると頬に手を触れさせると更に全身を襲う痛みに目を見開いた。 「君の体の構造をちょっと弄らせて貰うよ?元々の素質は良いから其処まで手を加える気は…あ、ちょっとやり過ぎちゃった」 痛みと熱に眩暈を感じながらも目の前に居るチシャがどんどん大きくなっていくような感覚に眉を寄せる。 それと共に体の中を熱い何かが駆け巡り満ちていくような感覚、全てが収まっては不意にチシャに差し出された鏡を見て呆然としてしまった。 目の前に映るのは銀色の毛並みに右が金色、左が緋色の瞳を持つ美しい猫が居たのだ。 「気に入ったかい?弄る時にちょっと予想外の事が起きちゃって君に僕の力の一部を与えちゃったんだよねぇ…。だから、君は僕に近い神くらいの強さを持っている。けどね、力を暴走させちゃったら危ないから猫になって貰っちゃった」 「…力の一部って、どんな力なんだ?」 「んー、誕生と制約、僕と同等の魔力に断罪の神眼…他にもあるけどこれに比べればどうと言う事はないよ」 「何でそんなものを俺に…」 「僕も意図してやった事じゃないから分からない…もしかしたら君自身に何かがあるのかもね?けど、今はその体の事を教えてあげるからよく聞いてね」 チシャに喉元を擽られ喉を鳴らしながらその手に擦り寄りつつ与えられた力とこの体の大まかな説明を受けながら俺は少しこれから猫として生きる自分の生を考え嬉しくなっていた。 今までは全てがつまらない色のない日常、侮蔑、期待、軽蔑、怨恨の目などに晒され続けていたがこれからは違うのだ。 一人物思いに耽っていれば軽く頭を小突かれチシャを見ては呆れたような顔を向けられた。 「これからの事が楽しみなのは分かるけどちゃんと聞いてよね?その体だと君は普通の猫と同じだけれど魔法を使える云わば身体能力の封印された状態なんだ。君の身体が世界に馴染むまでは人の姿に自由になれない。多分百年くらいかな…ああ、人の姿になったからと言って君が猫に戻れなくなるわけじゃないから安心していいよ。人の姿の時は封印が解かれた状態だから身体能力も軒並みに高くなるし魔力も膨れ上がるから気を付けて」 先程よりも真剣な表情になったチシャに俺も真剣に頷き返した。
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