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どうやら俺は猫の姿の時は魔法のみ、これから向かう世界の魔素を己の意思で規定量取り込む事によって人の身体に戻りリミット付きで本来の力を得ると言う事だ。
世界に身体が馴染めばその必要はなくなるそうだが百年も俺が生きられるというのだろうか。
「寿命の事気にしてるようだけどさ…君、僕の神である力を取り込んでるんだよ?これがどういう事か分かるよね?」
「……あぁ、まぁ分からなくはない」
「理解が早くて助かるよ。けどね、不死身って言う訳じゃないんだ。年を取らず体力が衰える事も無い…けど、君の身体はまだ人の枠組みに入る。最も神に近いけれども劣る器。何か切っ掛けがあって君が神に昇華する事があれば別だけど…と言う事で、そろそろ君を行かせたいんだけど少し不安だから僕が稽古を付けてあげるよ」
「…いらん。早く俺を飛ばせ」
「せっかちだなぁ…君に与えた誕生…新しい命を産み出す力の注意事項をついでに教えたいんだよ。まぁ、そこまで聞きたくないなら飛ばけどさ」
「其処は教えろ。誕生とは新しい命を産み出すのか?」
「そうだよ?君が行く世界には君達が夢に描くような幻想に満ちた生物や精霊、魔物とかが住んでる。君が君の望む強さ知識を持った生物を種族関係なく産み出し使役する事が出来る。下手すれば神だって作れちゃうかもしれない…まぁ、創造神でもなければ無理だろうけど」
チシャは何も無い筈の宙に寝転びながら怠そうに説明をしては、俺を見下ろすと余程毛並みが気持ちいいのか頭を撫でて来る。
抵抗したいが気持ち良い為に俺は時折肉球でその手を叩きながらも誕生の能力について考えていれば小さな溜息と共に更にチシャが言葉を紡ぐ。
「君が作れる生き物は最低でも10が限界だろうね。新しい命を産み出すんだ…君がちゃんと管理してあげなきゃダメだよ?中には力を示さないと言う事を聞かないって言う好戦的な子もいるかもしれないし…まぁ、あの世界には互いの魂を繋ぐ契約って言う手段があるだろうから大丈夫だろうけど…ま、長い話は此処までにして目を閉じてよ。オマケで君があっちの世界で90年は過ごした事にしてあげるから」
「は?どういう…」
「君が10年過ごしたらその力を発揮できるようにするんだよ…僕からのこれはお詫び。頑張ってね…相良 神威(サガラ カムイ)」
目を閉じれば暖かな感覚に包まれると同時に俺の意識は消えた。
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