episode.1 銀色の猫

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その後姿を見送ってはふと自分の容姿が気になるも身体が痛みを訴えては数秒で猫の姿へと戻ってしまい、どうする事もできないので少年に歩み寄ってはその容姿をまじまじと見る。 金色の刺繍で何かの紋章の刻まれた青地の服を見ては何処かの貴族であるとは分かるものの今の自分には何もしてやる術がない。 「…どっかの貴族の跡取りか。此処に来ることを知ってる人間が居るか居ないのかだな」 小さな溜息と共に呟いては辺りの気配からして少年の従者は全滅しているだろう事を考え近くに人里があるのかさえも分からない状態で下手に動くのも危険である。 何か切っ掛けになる事と考えては特濃の魔素による結界を張る事を思いついては一か八か大地に手を付き目を伏せては辺りの魔素と己の身に宿る魔力を結合させ足元から光の軌跡が伸びていき一つの魔方陣が完成しては輝かしい光が放たれる。 「チシャから貰った知識だけだから出来るか分からなかったが陣は描けたか…。後は詠唱のみ…我、彼の者を守る壁を欲する者。聖なる光よ、悪しき者を遠ざけ彼の者を守り得る力を持つ聖なる者を受け入れる気高き壁の鳥籠を此処に作らん!」 詠唱と共に魔方陣が更に光を放っては光による結界が魔方陣の描かれた場所に展開され成功したことに安堵の息を吐くも、かなりの精神力を持って行かれたのか睡魔に襲われてはふらふらと少年の傍に歩み寄ってはその場に寝転ぶ。 微睡に打ち勝てずゆっくりと瞼を伏せては身を上下させながら寝息を立て始める。 30分程で目を覚ましては辺りに転がる無数の魔物の数に目を見張るも全て結界に身を焼かれ息絶えているのに気付いては自分の結界の威力と強固さに思わず髭をぴくぴくと揺らす。 背後で動く気配を感じては振り返ると少年がゆっくりと身を起こし辺りを見ては息を呑みまた気絶してしまった。 「……何と言うか。精神面の弱い奴だな」 呆れたように呟いては強い者の気配に身の毛が逆立てばそちらへと視線をやると白いローブを纏った何者かがゆっくりとこちらへ歩み寄って来ては己と少年の姿を見て一瞬動きを止めた。 「…シヴァ王子!何故こんな所に…護衛を付けアネルバ共和国を目指していたと聞いていたが。む…これは、侵入できる者を特定できる強固な結界など一体誰が…」 声からして男と分かる白ローブは結界を前にして僅かに眉を寄せるも手を翳しては己が阻まれぬ事に更に驚いていた。
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