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私は血の気が引き頭の中で、
『ナニヲ コノコハ イッテルノ?』
何度もこだまする。
また、その場はざわめき始め、
「そんなバカなー ハハハハ。」
「男でも、OK OK!!」
明らかに信じてない感じで、カルイ対応を男共はしていた。
なのにさらに、
「性同一性障害なんだって、男が男を漁りにきてるんだって。引くでしょー。キャハハ。」
バレた、完全にこの場の空気がそう言っていた。
私は立ち上がり、
「…華菜子ちょっと来て…。」
華菜子は、ちょっと真顔になったが、すぐにいつも通りのおちゃらけモードに戻り、立ち上がって、
「いやーお持ち帰り一番乗りー。
行ってきまぁす。」
ザワザワしてたその場を、華菜子を連れて離れた。
店のトイレのある廊下で立ち止まり、華菜子の方を向き、思い切り胸ぐらを掴んだ。
「あんた今日という今日は、どういう事なのっ!?」
いつも邪魔はしてたけど、傷つける行為なんて、今までしなかった。
腕にめいいっぱい力が入る。
言ってはイケナイその一言は、人生で一番の怒りに値するのに絶大だった。
華菜子は目を合わさず、そっぽ向きながら、
「だって本当の事じゃん。男が男に、愛想なんか振りまいちゃってさ、キモイんだよ。」
我慢できなかった、華菜子の頬を平手打ちをした。
パチンッと音が鳴り、廊下に響き渡る。
「あんたの事、信頼してたし、親友だと思ってたのに…。」
「私はただの一度も、親友なんて想った事なかったよ。」
完全にキレた、一緒に過ごした日々は、
最初の出会いはなんだったの?あんたを平手打ちした手だって、こんなに痛いし、
心もすごく泣いてる…。
「解った…もう絶交よ。二度と私の前に現れないで…さようなら…。」
「……。」
ボソボソ華菜子が言ったような気がしたが、振り返らずその場を去った。
アイツ ガ ニクイ ニクイ ニ ク イ…。
裏切られた、頭の中は、それでいっぱいである。
店のトイレにそのまま向かった。
もう我慢ができなかった、また大声で泣いていた。
あの日から泣かないって決めていたのに、前向きにいこうと思ってたのに…。
「うわーん。ヒクヒク。」
私はトイレの鏡の前で、洗面所の淵に手を掛け、しゃがんでいた。
「汝、我を求めし者。唱えよ。」
「誰っ!?」
立ち上がって振り返ったけど誰もいない、トイレの鏡を見た。
鏡の中から綺麗な鏡が出てきた。
「きれいな…カガミ…?」
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