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今隣で心配してくれる、彼氏の悠宇紀もいる。
楽しい場所があるのは、頑張れる証拠、そんな風に思っていた。
「ただいまー。」
家の中に入った瞬間、違和感を感じた。
血の匂いがする…進んでいくと、
オヤジが母さんを殴りまくって、
母さんから鼻血が大量に出ていた。
「テメぇーっ!母さんには手を出すなって言っただろっ!!私が身代わりになるからって!!」
「むしゃくしゃして、帰ってきたらよぉーお前がいないもんだからさぁ…。」
オヤジは私に向かって、拳を振り上げた、目をつぶり歯を食いしばった。
「あっりかぁぁーもうあなたやめてぇー。」
母さんは血塗れになりながら泣き叫んで、庇おうとしてくれたが、私がそれをまた庇った。
鈍い音が鳴り、お腹に拳が入り、吐血した後は、あまりの痛さに覚えていない、
気がついたら、家の前のアスファルトの上に横たわっていた。
母さんは、泣きながら何度も、
「ごめんね、ごめんね。」
と泣いて、濡れタオルで私の顔を拭いていた。
痛さで麻痺しているのか、月灯りが綺麗に見えた、反面
『オヤジ、ブッ殺すじゃなく、私が殺す価値なんてないと冷静に思ってた…消えねーかな』
何度このフレーズを思っただろう、神様なんていない…感情だけがリアルなだけである。
次の日、包帯を巻いて、学校に行った、いつもなら学校に来れば、
元気な私になれるのに、今日はなんか違っていた。
イライラするし、気持ちがすごく沈んでいた。
頭の中で何度も何度もこだまする、
『オヤジ消えろ、オヤジ消えろ』
どんなにヒドく殴られても、ここまで追いつめられる事はなかった。
「おい!亜梨加、どうしたんだよ。」
「うっさいな。ほっといてよ。」
大声で言ってしまった、ハッと周りを見渡すと、皆こっちを注目していた。
「ごっごめん。なんだか、調子悪いみたい…ちょっと保健室で休んでくるね。」
私は、そう言ってその場を立ち去った。
すごい自己嫌悪にみまわされた。
悠宇紀にあたるなんてどうかしてる、ちょっと休んだら楽になれるかな?
そう思い、私は保健室に向った。
この時、保健室さえ行かなければ良かったのか、そんな風に思う、
イヤ、運命だったのかもしれない…崩壊していく前兆なのだと…。
ガラッと保健室を開ける、
「先生…。」
そこには誰もいなかった。
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