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ちょっと休むだけだからいいかと、ベットに向かい、寝転んだ。
すごく重苦しい空気が、流れた。
なんなのこの感覚、 目をつぶっても意識がはっきりしている。
枕元に硬いものがあたる感覚がある、
何?そう思いながら枕元にそっと手を伸ばした。
ゆっくり手を目の前に出すと、すごく綺麗な手持ち鏡が現れた。
「きれい…。」
その鏡に目を奪われた。
ずっと見つめていると、
「汝、我を求めし者。唱えよ。」
私はびっくりして、目を見開いた。
「鏡がしゃべったの?」
「そうだ。汝が我を求めたから、現れたのだ。」
「どういう事?私が求めたってどういう事?」
「汝には、想い人がいる。一番感情を増幅させてる人かいるはずだ。
我は、その想いが強い者の所に現れる。」
「オヤジ…の事だわ。でも現れたから何なの?」
「汝の想い人に対する、願いを叶えようぞ。」
「オヤジを消してくるの?」
「汝が想ってる願いならば消えるだろう。汝が求める事が起りうる。」
「…今あなたを使わなければどうなるの?」
「我の記憶が抹消され、我も消え、変わらない日々を送るであろう。」
「…。」
何も変わらない日々…そんなの耐えられない…私は、決心した。
「私、あなたを使うわ。どうすればいいの?」
「『鏡よ鏡 私の想い人はだあれ…』と唱え、
後に我に想い人が映るだろう、そしたら念じるのだ、
どうなってほしいか。我はその最後を見届ける。」
「わかったわ。」
これで幸せに…幸せになってみせる、そう思った。
鏡に向かい、私は唱えた。
「鏡よ鏡 私の想い人はだあれ…。」
鏡は突然光り、誰かが映った。
オヤジだ…オヤジの歪んだ顔が映っている。
私は、必死に念じた、妙な視線も感じたが、そんな事より、
『オヤジ消えろ、オヤジ消えろ、ブッ殺されて死んでしまえ…』と。
気がつくと放課後になっていた、夕暮れの綺麗な日差しが顔を照らす。
「まぶしっ。」
眠ってしまっていたのかと思い、すごく不思議な夢を見たと思った。
「本当に願いが叶うなら現実だったら良かったのにな…」
そうボソっと言っていると、しっかり手に握られてたのは、あの鏡だった。
「夢じゃない。」
カーテンの音がシャッと聞こえた、あわてて鏡を隠すと先生が、
「一日中、魘されてたわよ。
大丈夫?
まぁ先生も事情知ってるから家には連絡しなかったけど…もう帰りなさい。
悠宇紀君も待ってるわよ。」
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