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「先生…ずっと居たんですか?」
「…?」
びっくりした顔でこちらを見た。
「何を言ってるの?ちゃんと先生に理由言って、寝てたじゃない。」
「えっ??」
何が起こっているの?誰もいなかったじゃない、保健室に…。
「それ、私が言ったんですか?」
「あっいえ、悠宇紀君がここにいたから説明してくれたのよ、
まぁサボるのはよくないから話を聞いたら、授業行かせたけどね。」
えっ、悠宇紀がここに?
いつから、どこまで聞いていたの?
鏡の事も?
そういえば、視線を感じた…まさか、悠宇紀が見てて、
私は、思考がぐちゃぐちゃで、我を失っていた…。
そこに、
「亜梨加大丈夫か?早く帰ろうぜ。」
ハッと我に返った私は、
「うっうん。」と言った。
「ねぇ、悠宇紀いつから保健室にいたの?」
「亜梨加の後すぐ追ったから、‘ 最
初 ’ からずっといたよ。」
ゾッとするような顔でニッコリ、悠宇紀は笑った。
「‘ 最初 ’ からって何か聞いた?」
「何も。」
またさっきの笑顔で、そう言い放った。
なんだろう、すごく恐い、恐い、恐い…すると、悠宇紀が私の手を握り、
「帰ろ?」と優しく言ってくれた。
さっきのは何だったんだろう?悠宇紀を恐いと思うなんてどうかしてる、まだ疲れてるのかもしれない。
そう考えて一緒に帰ってると、いつも二人が別れる所まで来た。
「じゃあね。心配させてごめんね、いつもありがとう。」
朝も朝だったから素直に気持ちを伝えた。
「今日は心配だし、家まで送っていくよ。」
「う?うん。」
いつもは、そんな事言わないのにどうしたんだろう?
悠宇紀は私の手を痛くなるほどギュッと握った。
「ちょっと痛いよ。」
笑いながら言うと、悠宇紀の顔は、恐ろしく真顔だった、またあの不気味な笑顔で、
「ごめんね。」そう言った。
やっぱり何かが違う、何が起こってるの?鏡のせい?鏡には、オヤジの事を念じたはずなのに…。
家に到着し、「また明日ね。」
と言うと悠宇紀は恐ろしい真顔で、
「俺が助けてやるよ…。」と言って私の肩を抱いた。
『どういう事?何を言ってるの?』
力が強くて腕を剥がそうとしても剥がれない。
ガラッと玄関を開けると、物凄い形相で、オヤジが立っていた。
「いいご身分だよなぁ…男とご帰宅なんてよ。」
マズい…今日はいつもより、オヤジの機嫌が悪い、
「悠宇紀もう帰って…。」
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