第1章

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最悪な朝は突然やって来た。 ボブは酷い頭痛に頭を抑えた。 隣で安らかに眠る最愛の妻、ジェシカを起こさないようにベッドからそっと抜け出した。 ベッドに備え付けのサイドテーブルには新婚旅行でハワイに行ったときに2人で選んだヤシの木の形のアナログ時計が置いてある。針はちょうど8時を指していた。 音を立てないように部屋から抜け出し、バスルームへ。鏡の中を覗き込むが、そこには50代後半にも見てとれるヤツれた顔の青白い男がいた。まだ32歳の自分の姿とはにわかに信じがたいがそんな事はどうでもいい。仕事に行かなくては。 風邪でも引いたのだろうか?頭痛が酷い。 棚に置いてある薬を取ろうと腕を伸ばしたとき、右の上腕がシャツに微かに擦れただけなのだが鈍く激痛が走った。 ボブの口から思わず低い唸り声がこぼれた。 恐る恐るシャツを脱ぎ、鏡に映すとそこは自分の腕とは思えないほど青く紫色に変色していた。 ?! 途切れそうなボブの思考回路は急に活動を始め、昨晩の出来事を思い出させた。
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