一章

8/53
前へ
/185ページ
次へ
 入った瞬間ギルド長のダグラスが声をかけてきた。  夕方ともなれば他の傭兵は酒場へと出払っている。 「ふむ、この者がウチの護衛になりたいらしくての、ちょいと試験をしようと思ってよ」 「へえー、ってジャンク! まさかお前か?」  ココの後ろにいる赤髪の少年に気が付いて声をかける。 「なんだよギルド長。文句あんのか?」 「このくそ餓鬼」  ダグラスは毒づいた後、ココに聞く。 「で、どんな試験をするんです?」 「ふむ、リンと手合わせさせてみたくての」 「えっ……、旦那とですかい?」  ジャンクはエクシブを見て聞く。 「……リン? あんた、リンていうのか」 「えっ、ああ。女みたいだろ?」  すると、ジャンクは気にするなよ、と言って続けた。 「あんた、俺が尊敬する傭兵と同じ名前だぜ? あれ見ろよ」  ダグラスの後ろに立て掛けられた大剣を指差す。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加