一章

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 ジャンクに隙ができた瞬間、エクシブはすかさず間合いを詰め剣先を顔の目の前に突き刺した。間一髪鎖に絡ませ難を凌ぐが、一瞬遅ければ──。 「手合わせだからって、気を抜いては駄目だろ?」  そう呟き、後ろへと飛ぶエクシブにジャンクは自分が息切れをしていることに気付いた。  洒落にならない!  ジャンクはそんなことを思いながらエクシブを睨む。  最近では蒼き狼の中でも実力は五本指に入る強者だと自負していたジャンク。  しかし、まるで赤子の相手でもされているかのように、全ての戦法が全くもって通じない。  隙だらけに見せて、まったく隙がない。  エクシブは何度か、ジャンクが仕掛けてきやすいように、わざと剣をかまえなおす。  それがわかってはいても、ジャンクは鎖の先の剣を舞わせ速攻をかけざるをえない。  しかし、結果はそれらはすべて受け流がされ、エクシブは余裕の笑みを浮かべている。
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