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ジャンクはその言葉を聞き、倒れるように寝転がる。
一人にすらあしらわれてしまう双子の親方を、いっぺんに相手する男に勝てるわけがない。
ギルド長の一言、身の程を知れ、という言葉が今になって理解できたのだから世話ない。
だが、ジャンクは悔しさよりも喜びの方が勝っていた。
「グラン=エクシブは本物だ」
憧れの男は噂通りの強者だった。それだけでジャンクは嬉しかった。
「ジャンクだったの」
ココの声に視線だけ向ける。
すると、ふっと笑い続けた。
「名は覚えたからよ。リン一人では辛いとき、ぬしを呼ぶことにするかよ」
ココは言い終わるとくるりと後ろを向いてエクシブと共に港の方へと行ってしまった。
「グラン=エクシブが辛いとき?」
寝転がったまま腕を組み、うーんと、唸ってから呟いた。
「どんなときだよ?」
エクシブが手におえない仕事なんて出来るわけがない。
それがジャンクのこたえだった。
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